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2019-04

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「TOKYO!」 (2008年/日・仏・韓)

このブログの開店休業状態も久しく、もはや更新を諦めたか失念したか、或いは主は逐電したか考えもされなくなったことだろう。
しかしそんな頃にフラッと更新されるのもこのブログの常と云えなくもないだろう。しかも時はお盆の頃。大抵の方々は漸く訪れた茹だるような夏日の下、レジャーとやらに勤しむか、私のように部屋でじっと(私の場合は“ずっと”だが…)身体を休めているものだろう。

しかし私は先頃、発起して丸ノ内まで足を運ぶ機会を得た。
商業施設はどこも人で賑わっていたが、一歩オフィス街に入ると打って変わって静寂に包まれている。それはいつもとは異なった東京の顔だった。

と云うことで、今回は新規な視点から望む「東京」とは――がテーマだ(前振りが長いな、と思われていた方々は御安心を。以下からは本編です)。

この映画は米・仏・韓を各々代表する映画監督が「東京」をテーマに撮ったオムニバス形式の作品だ。

トップバッターはミシェル・ゴンドリー。これまで「エターナル・サンシャイン」「恋愛睡眠のすすめ」「僕らのミライへ逆回転」等のファンタジックな作品を手掛けてきた監督だ。本作でもその例に洩れずファンタジーを描いたが、非常に現実的で少し恐ろしげだ。
主人公はインディーズ系映画監督を気取る青年(加瀬亮)の彼女(藤谷文子)。上京して友達の家に二人で滞在しているが、早く出ていって欲しいと思っている友達からの圧力と義務感から物件を探したり彼氏の映画用機材を運んだりと忙しい毎日を過ごしている。しかし自分自身は何かを成し遂げている訳ではない、という強い劣等感から彼女の身体は次第に…

まるで「ピノキオ」の寓話の逆だ。何か成し遂げたことの反照からでしか自分を定立できないと思い込んでいる現代人。自らの機能や役割だけが自分だと思う。まるで人間から物になることを望んでいるようだ。
しかしこの寓話の舞台として、東京は(そこに住んでいる者だから感じることなのかもしれないが)現実感を帯び、憂鬱だ。

二番手として登場するはレオス・カラックス。「ポンヌフの恋人」で絶賛を受け「ポーラX」等不安定で難解だが見応えのある作品を送り出していたものの、ここ9年間新作の発表はなく本作が復帰作となった。
「メルド」すなわち「糞」を意味するこの作品は、もはやそれ自体が偏見と見紛うほどの皮肉なものだ。
突如として下水道から這い出てきた“怪人”が“常人”には理解できない狼藉を働き、果ては地下深くに眠る旧日本軍の弾薬で“罪のない人々”を殺傷しだし…

という破天荒なストーリーながら、歴史・罪・特異等の様々なものを隠蔽する性質、異物を排斥する性質、社会現象化したがる性質、無議論的性質といった「日本」を痛烈に批判していると云えよう。まさに「臭いものには蓋をする」日本の内奥を垣間見るのは、パロディとして笑えるほど気楽にはなれないものがある。

トリを飾るのは韓国の実力派監督ポン・ジュノ。「殺人の追憶」や「グエムル」で高い評価を得ているが、私個人は彼の作品を鑑賞する機会に巡り会わなかったため今回は非常に楽しみであった。
そう遠くない未来、10年来引きこもりとして生活していた男(香川照之)がピザの宅配に来た女の子(蒼井優)に一目惚れをして外界へと踏み出していく、というストーリー。

結論から云えば、この話が一番“しっくり”くるものだ。暇があれば引きこもって一人自室で趣味に没頭する性質の私自身にとって身に積まされる思いがしたということもあるが、なにより仮想であれ未来であれ日本の普遍的(あるいはそうであって欲しい)部分が上手く捉えられていたからだろう。
木材や畳の香り、じめっとした陽の当たらない廊下、うっそうとした緑、眩しい日差しの中で霞む坂道――これは同じアジア人の感覚でなければ描けなかっただろう。
日本の夏。久しぶりに暑さに負けず、外を歩いてみたくなった。


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● COMMENT ●

久し振りにのぞいてみたら更新されていてびっくりしました。これからも頑張ってください。

幼稚なコメントですがこれにて失礼。

がんばります。

「あぁ忙しい、忙しい」と云っていながら、一日の自分の時間の使い方を省みると、無駄に時間を浪費していることがよくわかります。

かといって何が変わるでもありませんが、今後とも良しなに――。


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晋撰堂

Author:晋撰堂
晋撰堂は京極夏彦の京極堂シリーズにかぶれていた頃に命名。
自分の名前にも由来していますが、文化的娯楽作品から気が向いたものを取り上げてレビューを書いていこうと思います。たまに雑記と称して日々の雑念も放出します。
ただ問題は、ほとんど更新をしないということ。休眠状態を常としている現状ですが、もっと気軽に書けるよう努力してみようかと思ったのも、本日の気の迷いかもしれないです……

コメント、リンク等も何卒御気軽に。

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