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2019-01

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「JUNO / ジュノ」 (2007年/米国)

昨年度のアカデミー賞で「16歳の少女が妊娠してしまうと云う唯一明るい題材の映画です」と云ったジョークで紹介された『JUNO』は、確かに陰鬱な作品群の中で異才を放っていた。

勿論それは長篇は未だ2作しか撮っていないにも関わらず、長篇処女作『サンキュー・スモーキング』は好評を博し、本作ではアカデミー監督賞候補にすら名を列ねてしまったジェイソン・ライトマン監督(『ゴースト・バスターズ』等で有名なアイヴァン・ライトマン監督の御子息!)の輝かしい才能と、コピーライター→ストリッパー(!!)→脚本家(本作でデビューにして当該脚本賞受賞)と云う異色の経歴を持つディラブロ・コディと云う巷を賑わせるのも納得する話題性もある。
しかしそれ以上に、冒頭のジョークにもあったように決して明るくない――否、むしろシリアスに描かれがちな題材を、決して出しゃばらないニュートラルな主張と、軽妙酒脱な味付けでハッピーなコメディに仕上がっていることに、この映画が話題にされるべき本質がある。

16歳の“普通の”少女が「嫌いではない男友達」と関係をもってしまったことから妊娠してしまい、てんやわんやの騒動となるなかで、新しい世界を自分のものにしていく――。

本国アメリカではこの映画を観た「中絶肯定論者」と「中絶廃止論者」が共にこの映画を支持しているところが面白い。
主人公は“呪いの十字架発現”こと妊娠が発覚すると、まず中絶を考えるが、知人に「赤ちゃんにはもう爪が生えている」と云われて急遽出産を決意(中絶のための施設で神経質になっている半母親たちの描写が印象的)。そしてフリーペーパーの“赤ちゃん募集コーナー(ペットの広告の隣にある)”に載っていた“クールな”夫婦に、赤ちゃんを“絞り出すように”出産した後に譲渡することに決める。
確かにこの流れからは、双方の主張が汲めとれそうである。しかし、どちらを意図したのかを議論することは無粋であり、むしろ選択肢があると云う自由を大切にしているのだろう。

そして作品世界の中核として忘れてはいけないのが、主人公JUNOのキャラクターだろう。一見つっけんどんで、ものを考えていないようで、お菓子で自殺を図る(?)ようにとても神経質で、養子縁組みを整えてから親に妊娠の事実を報告するような狡猾さを持ち合わせていたりする。またヘビメタを崇拝し、マニアックなカルト映画『血の魔術師』に興奮する生態、今まであらゆるメディアでリアルに描かれることのなかったその空気感は絶妙だ。
つまりこの映画の強みは、愛すべき主人公と彼女を包む温かい両親や友人たちが見せる人間性にあると云える。

勿論、タイトルロールの映像での『ハード・キャンディ』のパロディだろう赤フードや、「変な二人」と一蹴したカーペンターズへの同化といった映画好きが楽しめる細部も充実している。

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晋撰堂

Author:晋撰堂
晋撰堂は京極夏彦の京極堂シリーズにかぶれていた頃に命名。
自分の名前にも由来していますが、文化的娯楽作品から気が向いたものを取り上げてレビューを書いていこうと思います。たまに雑記と称して日々の雑念も放出します。
ただ問題は、ほとんど更新をしないということ。休眠状態を常としている現状ですが、もっと気軽に書けるよう努力してみようかと思ったのも、本日の気の迷いかもしれないです……

コメント、リンク等も何卒御気軽に。

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