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2019-04

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「叫」 (2006年/日本)

久しぶりに書こうと思い立ったものがホラー映画と云うのも、なんだか陰々滅々としていて甚だ決まりが悪く感じてしまうが、まぁ仕方がない。
なにせ殺伐とした毎日を過ごしているのだから。

さて、早速本題に入ろうと思う。この映画は『LOFT』や『アカルイミライ』で有名な黒沢清監督作品で、もちろんこれまでのように観念的に複雑な作品世界がホラー要素と溶け合って構築されている。あえて違いを指摘するならば、そこに今回はミステリー要素が加わっているが、そこは作品世界に破綻をきたさないためにも理論的な謎解きといったものではなく、蓄積されていく謎のうえに解釈が成り立っていくというものなので、むしろ変に意識しなくても良いだろう。
むしろ鑑賞後にこの映画に拒絶反応を起こしてしまう人の多くは、そこに理論的な展開を求めてしまったことが原因なのだろう。

あるベテラン刑事が、遭遇した事件の身元不明女性の死体について捜査するうちに、葬り去った自らの過去が無意識理に現実とシンクロしていき......

そう、この映画はサスペンスとミステリーが溶け合っているところがミソなのだ。つまり両者はカチッと各々のピースが噛み合わさったような調和を構成しているのではなく、あくまでバラバラの小要素が渾然一体と絡み合い、混ざり合って、一種のカオス状態の様を呈しているのである。そして鑑賞者としての私たちがそこに何らかの絵柄を読み取るものなのだと思われる。
そしてこのカオスとしての状態こそが、生と死の狭間で彷徨う日本の霊の概念と合致し、更に云えば和製ホラーの特色、すなわちショッキング描写の連続ではなく、人間の妄念とでも云うべきものの視覚化を通して恐怖をじわじわと神経を侵食させていくという特色を上手く理解しているといえる。
全ての個々人(日本人)の根底部分に共通するであろう霊への恐怖感を通して、確信犯的に混迷する社会を映し出しており、ゆえに「理不尽」と評されることはむしろ「我が意を得たり」といったところなのだ。

しかし最後に繰り返される「私は死にました。だから皆さんも死んでください。」という叫びは、唯々くどく、興ざめな感も否めないのが甚く残念だった。
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● COMMENT ●

どうも。
サスペンスはともかくホラー映画など殆ど見ない田中です。

この映画の解説というか仕掛けの原理はわかりましたが、私としてはそこから「日本人と怨霊」の考察に入り、さらに「怨霊と仏教」「浄土真宗とインド」「プテン○ラムとG君」と続くブログだとさらに盛り上がると思います。

コメントありがとうございます。
御指摘戴いた点について当ブログの改善へと繋げられたらと思います。
特に最後の「」については興味深い......


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プロフィール

晋撰堂

Author:晋撰堂
晋撰堂は京極夏彦の京極堂シリーズにかぶれていた頃に命名。
自分の名前にも由来していますが、文化的娯楽作品から気が向いたものを取り上げてレビューを書いていこうと思います。たまに雑記と称して日々の雑念も放出します。
ただ問題は、ほとんど更新をしないということ。休眠状態を常としている現状ですが、もっと気軽に書けるよう努力してみようかと思ったのも、本日の気の迷いかもしれないです……

コメント、リンク等も何卒御気軽に。

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