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2019-01

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KULA SHAKER

昨今のロックと呼ばれている音楽を聴いて顔をしかめる人は、なにもロックの黄金期に当たる60年代、70年代を生で経験した人ばかりではないだろう。
一度その時代のロックを聴いたならば、ロックに込めた精神と、がむしゃらに磨き上げられた技術と、その結晶として出来上がった音楽のパワーに打ちのめされることは間違いない。
僕は特別そういった音楽の信奉者ではないし、復古主義的な思想背景を持ち合わせているわけではない。しかし現在、世の中に溢れ出ている、音楽と呼ぶことすら憚られる音たちの空虚さと、単調さと、軽薄さを鑑みるに、その差は歴然としている。
ならばその真実のロックだけをひたすら聴いていればよく、現在生み出されている「音楽」は、何の価値もないのか、と問われたならば――否、と答えなければならない。
なぜならば、仮令それが真実のロックであろうとも、古いのだ。
現代の「音楽」には時代を写す魔力があり、時代を牽引する腕力がある。
つまり、古き善き精神を受け継ぎ、時代に適った音を作り上げることができたならば、それが最良なのだ。
そして、過去の幻影に束縛され続けている現代のアーティストが目指すべき、この最終目標に果敢に挑戦しているミュージシャンこそが、kula shakerなのだ。
僕の中では、kula shakerを捉えようとしたとき、調停者という言葉が思い浮かぶ。それはもちろん、ここまで長々と書き綴ってきた「音楽」の在り方についてもそうであるし、kula shakerのアイデンティティともいえるインド思想についてもいえる。すっかり西洋色に染まったこの世界に、東洋の精神を注入し、不安定になっている気を中和しようとしているのではないか、と彼等の意図を想像すると、やはり対立する二項の狭間に仲介するkula shakerの姿が目に浮かぶ。但し、この部分に関しては、想像の枠に止まらざるを得ない。何故ならば、彼等自身が確固たる信念を雄弁に語ったことはないからだ。しかしこのインド思想が、現実逃避のための戯言では決してないことは、この時代の混沌に型を与えんとするかの如き彼等の態度と、その結果、現に「音楽」として実現していることが、証明しているだろう。

ここまで、長々とkula shakerの正統性について述べてきたが、ここで彼等の来歴を付して置きたい。
ロンドンで「the Kays」名義で活動を始めた彼等は、1995年にコロムビア・レコードからデビューする。
名曲「tattva」をリリースした後、セカンド・シングル「Greatful When You're Dead」で一躍全英の注目を集める。そして「Hey Dude」で全英2位、全歌詞をサンスクリット語のマントラで表現された「Govinda」で全英7位を獲得するなど、決してブリット・ポップの枠のはまることのないバンドではあるが、その流れを利用して興行収入面でも成功を収めた。もちろんこれらを収録したアルバム「K」は大ヒットとなった。
しかしレコーディングとPVに莫大な資金を投じ、更にインド思想的なサイケデリズムを深めたセカンド・アルバム「Peasants, Pigs and Astronauts」は不評で、セールス面でも急落。これによる失望と機能不全により、1999年、3年という短い活動期間で、kula shakerは解散、シーンの表舞台から姿を消した。
ところが2005年、いきなりの再結成を発表し、翌年のフジ・ロックフェスティバルに参戦。本国イギリスと同等、もしくはそれ以上のファンが存在する日本での演奏は大盛況だった。
そして2007年初夏、世界に先駆けて日本でサード・アルバム「Strange Folk」を発売。インド色は後退したものの、心にしみるフォーク・ソングが話題となった。

僕の印象を述べるならば、総じてどのアルバムも完成度が高い。「K」が燦然と輝く名盤であることは云うまでもなく、「Peasants, Pigs and Astronauts」も装飾が過ぎるものの、kula shakerというバンドを考えたとき、存在べきアルバムだったと思う。またセールスにだけ注目すると一番芳しくない「Strange Folk」も、アルバム一枚通して聴くならば、最も心地よいものになっていると断言できる。僕自身、最も聴いているアルバムかもしれない。
では、最後にkula shakerの楽曲を数曲紹介することにしたい(このブログのコンセプトから逸脱するため直接動画を貼り付けてはおりません。恐れ入りますが、付記してあるURLからお飛びになって下さい。)
もちろんここに紹介していない曲でも秀逸なものは多くある(特に「Die for Love」は僕のお気に入り)。しかしここまで読んでkula shakerに興味を持った方は以下の順序で鑑賞してみることを強く勧めたい。

★Shower Your Love (「Peasants, Pigs and Astronauts」収録)
一時解散前最後のシングルとなった本曲から紹介するのは如何なものかとも思うが、インド色が然程五月蝿くなく、優しい曲調が入門篇として適しているだろう。
僕自身、大好きな曲。ヴォーカルのクリスピアン・ミルズの口癖「Oh,year!!」と思わず叫びたくなる程に。
http://jp.youtube.com/watch?v=RwKYldVQ8-4

★Hey Dude (「K」収録)
イギリスを代表する言わずと知れたビッグ・バンドにオマージュを捧げた題名ながらアップテンポな曲調は全く別物。最高の疾走感を味わえる。
http://jp.youtube.com/watch?v=LFstthQIWZw&feature=related

★HUSH
「ディープ・パープルの「HUSH」をカヴァーするとは!!」と誰もが驚いたものの、次に頭をよぎるのは「格好良い!」の一言。楽しそうなメンバーの様子からもバンドの勢いを感じさせる。
http://jp.youtube.com/watch?v=wh7r_f_rw0c

★Tattva (「K」収録)
この曲を聴いたとき、このバンドの凄さを理解した。どんなクスリよりも刺激的なトリップを楽しませてくれた後に、ウォッカを飲んだ後にくるようなパンチに見舞われる。
http://jp.youtube.com/watch?v=Rwr1DlkfpUY

★Second Sight (「Strange Folk」収録)
kula shakerが正統なブリティッシュ・ロックの継承者であることを示した一曲。PVも格別の出来。クリスピアンが演じているのはあのお方!?
http://jp.youtube.com/watch?v=PiQ935vNEW8

★Great Dictator (of the Free World)  (「Strange Folk」収録)
最後はコレと決めていた。その理由もkula shakerに共感していただけた方々には分かるはず。最高にハジケてます!!
http://jp.youtube.com/watch?v=RpsAZYIHs7Q
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● COMMENT ●

おひさしぶり!
プテンカラムのレポートに追われて憂鬱な日曜日を過ごしている鳥潟でごわす。

以前僕が「聴いたことがある」って言ったのはHUSHでした!そうそうこれこれ。かっこいいっす。

ブログの方もとっても充実してきましたね。
またちょくちょく見に来ます!
じゃ!

お久しぶりで御座います。
明日から仕事始め。憂鬱ですね。
頑張っていきましょう!


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プロフィール

晋撰堂

Author:晋撰堂
晋撰堂は京極夏彦の京極堂シリーズにかぶれていた頃に命名。
自分の名前にも由来していますが、文化的娯楽作品から気が向いたものを取り上げてレビューを書いていこうと思います。たまに雑記と称して日々の雑念も放出します。
ただ問題は、ほとんど更新をしないということ。休眠状態を常としている現状ですが、もっと気軽に書けるよう努力してみようかと思ったのも、本日の気の迷いかもしれないです……

コメント、リンク等も何卒御気軽に。

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