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2019-01

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「WHEN I WAS CRUEL」 by Elvis Costello

長い沈黙を打ち破り、久しぶりにこのブログを更新しようと思います。
振り返ってみれば、この数週間は随分と鬱屈したもので、生命力を欠いていました。新たな職に就いて、その最初の給料で買ったものがFOUR ROSES(注;バーボンです。)だった、ということが如実にその深刻さを物語っているようです。
そんな成り行きで、今日はElvis Costelloの「WHEN I WAS CRUEL」を紹介します。

あるアーティストのファンになるか否かについて、そのアーティストの、どのCDを最初に手に取るかが非常に重要な要素になってくる。それは宗教学において真の改宗には重大な心の転機が必要だ、と云われていることに似ている。
もちろんそんな大仰な例を持ち出さずとも、自分の趣味に合ったからもう一枚買ってみたり、期待に添わなかったために興味をなくしてしまったり、といった経験が屹度あることだろう。
僕にとってElvis Costelloの最初の一枚となった本作品は、その意味で、かなり異色である。
本作品を購入したとき、僕はいわゆる普通のROCKやPOPSへの趣向が強く、JAZZなどの音への関心は薄かった。そのため本作品を聴いたときの戸惑いは大きかった。
しかし僕は諦めず、Costelloの初期から本作に至るまでの経過を、順を追って聴いていった。そして再び本作品を聴いてみたときの印象は、全く別のものだった。

凄い......!!!

本作品は、ポピュラーなカントリーに始まり、R&B、ジャズ、クラシックと、それまでに積み重ねてきた音楽が見事に自身の中で成熟され、そして融合されたことを証明している。
一つ一つの曲を個別的に見ていっても、興味をそそられるタイトル、僕好みの皮肉な歌詞、途切れることを知らない一貫した曲展開、知る人ぞ知る豪華な演奏陣がCostelloの原点としてのバンド形式に組み込まれて生み出された深いサウンドアレンジ――その全てが体感できる。そんな入魂の一曲一曲が巧妙に繋げられ、このアルバムはまるで精緻な計算の末に完成されたミステリー小説のように、重厚で魅惑的な印象を醸し出している。もちろん簡単にオチを見つけられることもない。それが何度でも楽しめるCostelloワールドの遊園地的世界観の真髄である。

アルバムはまず音楽への純粋な思い出が語られる「45」から始まる。自らの鼓動と一体になるようなビートが心地よくCostelloワールドへと招待する。
そして一転して雲行きをわからなくさせるような怪しさが光る「spooky girlfriend」へ。
そしてこのアルバムからのシングルカット第一弾となった「tear off your own head」。キーボードの使い方が初期を思い出させるハイテンポなナンバーだ。サディスティックな歌詞も最高だ。
そしてこのアルバムの中で特に気に入っているのが「when i was cruel NO,2」。詩の意味を忘れているような現代音楽に、文学的要素の復活を見出したくなるようなドラマが展開する。そしてその蟲惑的なサウンドに酔いしれる。
この流れはそのまま7曲目の「tart」へと続く。冷酷なほど鋭い刃が歌詞に煌めくこのナンバーは、独特なCostelloの声色に一番合っているかもしれない。
8曲目は「dust2...」。11曲目の「...dust」と対になって、この世の穢れを、この世に巣食う人間を辛辣に切り捨てる。これは10曲目の「alibi」との繋がりを考えると皮肉なものだ。
そしてこのアルバムの中では圧倒的なスピード感を伴う「daddy can i turn this?」は珍しく荒々しさを残しており、危険な後味を引く。
そして皮肉な歌詞と可愛らしいメロディが黒い「my little blue window」「oh well」が最終章を牽引する。
15曲目の「episode of blonde」はラテンなリズムで、自らカラフルに塗りたくったが故に精製された黒い舞台に、真っ赤な幕を引く。もう、格好良すぎる......
因みに日本版にはボーナストラックとしてチャップリンの「モダン・タイムス」で御馴染みの「smile」が収録されており、「radio silence」と共に、甘美なお口直しとなっている。

長々と語ってしまったが、つまり云いたいことは、このCDは傑作だということだ。僕自身、他のどのアーティストの、どの作品よりも好きなCDと云っても過言ではない。
他の作品はこの際脇に放って置いても(問題発言か)、是非この世界に飛び込んで欲しい。
そして、もしその時が来るのであれば、よく晴れた夜に、バーボンを片隅に置いて聴いて欲しいものだ。
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晋撰堂

Author:晋撰堂
晋撰堂は京極夏彦の京極堂シリーズにかぶれていた頃に命名。
自分の名前にも由来していますが、文化的娯楽作品から気が向いたものを取り上げてレビューを書いていこうと思います。たまに雑記と称して日々の雑念も放出します。
ただ問題は、ほとんど更新をしないということ。休眠状態を常としている現状ですが、もっと気軽に書けるよう努力してみようかと思ったのも、本日の気の迷いかもしれないです……

コメント、リンク等も何卒御気軽に。

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