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2019-04

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プルートで朝食を (2005年/イギリス・アイルランド)

リーアム神父(リーアム・ニーソン)の教会に捨てられた乳飲み子のパトリック(キリアン・マーフィー)は、ブレイデン家の養子になる。しかし大きくなるにしたがって、自分の本当の親への関心は高まる一方だった。そして女性的な青年“キトゥン”へと成長したパトリックは、アイルランドの田舎町ではすっかり浮いた存在になってしまった。
あるとき、遂に家出を決心し、美しい母親の幻影を追ってロンドンへ向かうのだったが......!?
二ール・ジョーダン監督作品。

これはただのオカマの物語ではない。そしてただのコメディ映画でもない。
まるで現代の人としての不幸を一身に背負い込んだかのような“キトゥン”の幸福な半生を描いたロードムービーである。
主人公“キトゥン”ことパトリックは自らの出生の秘密、母親への憧憬に因を為す性同一性障害を抱えながら、それを隠すこともせずむしろ曝け出す。それは単なる女らしさの発露ではなく、脆い男らしさに帰属するものではない強い勇気を表出している。しかし本人はあくまで自分の行動は自然なこと、運命られていることであるかのようにサバサバとしているところが良い。
そしてそれは自らに降りかかる数々の不幸に対しても同様で、妙に楽しんでいるきらいさえある。「みんなまじめすぎる」と云う言葉にその思いが表れていることであろう。
更に出てくる男たちが皆どこか間が抜けていて、パトリックの母性に包まれてしまう。しかしそれは彼等にとって束の間の幸福である。如何なるかたちであれ、巣立ちのときはやってくるのだから。
その意味で、偶然かもしれないが、パトリックを見守っているのが鳥であったことは演出の妙と云える。

この考察で、この映画がただのオカマの物語ではないことが御解かり戴けたと思う。そこで次にこの映画がただのコメディではないことについて書き添えておきたい。
まず、監督のアイデンティティに関わることであろうアイルランド問題の意識が映画に色濃く現れている。監督がアイルランドを愛するからこそ、本来の目的を見失い、破壊と殺戮に尽きるIRAに対する鋭い批判を投げかける姿勢が見て取れる。
また、世に蔓延る不条理な差別や偏見に対する批判も描かれている。
この静かなる怒りをコメディと云う砂糖菓子(但し中身は劇薬級)にして仕上げているのだから、感心する。

個人的には、この映画が上映されていたときに是非観たいと思っていて、しかしいざ友人を引き連れて劇場へ足を運んでみると既に上映は終了していたと云う因縁があったため、感動はひとしおであった。
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晋撰堂

Author:晋撰堂
晋撰堂は京極夏彦の京極堂シリーズにかぶれていた頃に命名。
自分の名前にも由来していますが、文化的娯楽作品から気が向いたものを取り上げてレビューを書いていこうと思います。たまに雑記と称して日々の雑念も放出します。
ただ問題は、ほとんど更新をしないということ。休眠状態を常としている現状ですが、もっと気軽に書けるよう努力してみようかと思ったのも、本日の気の迷いかもしれないです……

コメント、リンク等も何卒御気軽に。

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