晋撰堂喫文店

小店では店主が怠惰な日常のなかで見つけた至玉(?)の映画・本・音楽について徒然なるままに紹介しております。            ご興味のある方、御骨休みに一服していって下さればうれしく思います。

伊藤四朗生誕七十周年記念と銘打たれた本作は、なんと脚本に三谷幸喜、演出に三宅裕二(スーパー・エキセントリック・シアター主催)、そして主演が伊藤四朗と云う最強の喜劇人が結集した舞台となった。その他にも東京ヴォードヴィルショーを主催する佐藤B作や「芸暦七十周年(?)」とも噂される大ベテラン中村メイコ以下藤澤恵麻、山口良一、東貴博、伊東孝明、河本千明ら個性豊かなメンバーが揃う。

三谷幸喜ファンでありながら、毎度数々の不幸な災難に見舞われチケットを入手できなかった僕は某TV有料チャンネルで拝見した。

率直に云うと、

―面白い!

の一言に尽きる。「エキストラ」を始めとして昨今の三谷作品はネタ切れか、と心配していたのだが、三谷幸喜はまた一つ傑作を生み出したと断言しても良い。否、原作者の三谷氏から離れ、より客観的で抑止の効いた演出を施した三宅氏や、作中では「悪人面」「岩石顔」と誹られていても人の良さが全面に滲み出ている伊藤氏等々の力が各々の味を上手く出しつつ、全体としてのまとまりも感じられる為だろう。


僕が今回注目した人物は二人――中村メイコさんと佐藤B作氏だ。
中村メイコさんは年代の所為もあってか僕はあまり知らなかったのだが、コメディ女優としての芸暦は相当のものらしい。しかしそれほど多くはない登場シーンの随所でそのただ者でない様を感じさせられた。
兎に角、「間」が良いのだ。
笑わせる時はテンポ良く、それでいて速すぎもせず遅すぎもせず絶妙のタイミングで口を挟み、しんみりさせる時は少しスローに語りかけるようにする。
ちょっとひねくれた、しかし実のところ夫を想う社長夫人役はぴったりだった。

そして佐藤B作氏。彼のやかましさが僕は苦手だったのだが、今回はそのやかましさが非常に効果的だった。役どころとしては、以前忘年会で社長の物真似をしたが為に常務から駐車場誘導係に降格させられた男。過去を恥じらいつつも、まだ物真似で目立ちたいとうずうずしている少し哀しい中年オヤジの役に、彼独特のやかましさが見事にハマっている。

勿論そのほかの出演者も全員に見せ場があり、存分に活躍している。始めから終わりまで抱腹絶倒のこの作品、観る機会があれば是非どうぞ!

[ストーリー]
あるお菓子メーカーでは最近販売したお菓子に異物が混入していたと多数の苦情が寄せられるようになっていた。そのため退任を迫られることとなった社長はしかし頑として退任要求を受け入れようとしない。
そんな堅物社長の唯一の楽しみは、社内販売でやってくるお菓子売りの女の子と社長室で会うことだった――それも初めて会ったときに女の子が社長のことを社長室で観賞用植物の害虫駆除をしている業者の人とと間違えてしまったため、社長は以後害虫駆除業者に変装して会うという妙な状況で。そんな社長だったが、その密会の場面を見つかってしまった。しかし幸か不幸か自分がであることはバレず、驚異的なソックリさんということにされてしまう。そのため社長を追い落とそうと画策する専務に一時的に社長に成り代わるように頼まれてしまい......!?



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晋撰堂店主
  • Author: 晋撰堂店主
  • 当ブログでは晋撰堂店主こと筆者が最近鑑賞した文化的娯楽作品を徒然なるままに紹介して居ります。
    どうぞ御見知り置き下さい。
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    さて、昨年のしつこい残暑から逃れんとし、そして厳しい冬に備えんとし、やっとのことで年が明けたと思えば春眠暁を得ずとはよく云ったものです。永きに渡り沈黙に浸っていたこと、並びにこれからも治らぬであろう不摂生をどうぞ御許し願いたく願い候う。
    何卒飽かず御贔屓に――

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