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2019-01

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私が語りはじめた彼は(2004年/新潮社)

「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞を受賞した三浦しをんの著。

大学教授村川融の不倫が発端となり運命を狂わせてゆく助手、妻、息子、娘――男と女たち。それぞれが途方もない哀しみ抱えながらも、瓦礫のなかから必死で何かを求め探すように生きている者たちの危うい関係を圧倒的な表現力で描く。

まだ8月の、夏と認識されているだろう時期にこの本を紹介できて本当によかったと思う。なぜならば中国皇帝の逸話を経て始まる本編の季節も夏だからだ。その夏の描写からして実にリアルで、仮令クーラーの効いた部屋でこの本を読んでいようとも、思わず自分の服が不快な汗でじっとりと湿っているのではないかと確かめたくなるほどだ。
大きなひとつの時間軸のなかでそれぞれの章の「私」が語られていく様は、その後の三浦氏の著作「むかしのはなし」と同様であるが、こちらの方がその関係性は明白だろう。
僕個人としては直木賞受賞作の「まほろ駅前多田便利軒」よりもこちらの作品の方が気に入っている。もちろん「まほろ~」も良い作品だとは思うが、登場人物がどうも漫画チックな気がして痛快ではあるが、読後に実感する重量感に欠ける。その点でこちらは複雑な人間関係が驚くほどの観察眼をもって表現されている。是非その美しい表現の数々に浸りながら読んで戴きたい。
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晋撰堂

Author:晋撰堂
晋撰堂は京極夏彦の京極堂シリーズにかぶれていた頃に命名。
自分の名前にも由来していますが、文化的娯楽作品から気が向いたものを取り上げてレビューを書いていこうと思います。たまに雑記と称して日々の雑念も放出します。
ただ問題は、ほとんど更新をしないということ。休眠状態を常としている現状ですが、もっと気軽に書けるよう努力してみようかと思ったのも、本日の気の迷いかもしれないです……

コメント、リンク等も何卒御気軽に。

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