FC2ブログ

2009-10

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「重力ピエロ」 (2009年/日本)

先日、日課を放棄して映画館に向かいました。
かねてから贔屓にしている早稲田松竹へ。
ここでは選び抜かれた旧作(わりと新しいものも上映する)を格安料金二本立てで、しかも良質な座席でゆったりと見られるすばらしい映画館です。
個人的には高校生のときから慣れ親しんだ界隈にあり、これもふと気軽に足を運んでしまう理由かもしれません。
JR線と西武線という雰囲気の異なった路線が走り、駅からは絶えず人を吐き出しています。その吐き出された人々がお洒落なカフェから無機質なオフィス、かしましい居酒屋にいたる様々なビルが乱立する街中へと消え、或いはそこから現れ、また駅に飲み込まれていくのを眺めているのは実に楽しいことです。
ただ、その日は上映時間も迫っていたので、悠長に構えてはいられません。
二本鑑賞するには、それなりの気合が必要ですよね。

さて、今回は伊坂幸太郎特集。
小説を映画化すると大抵の場合、小説ファンの反感と多くの鑑賞者失望を買う。しかし伊坂幸太郎作品の映画は稀にもその難から逃れているように感じる(少なくとも今までのところ)。

今回観た二本の内、『重力ピエロ』は以前本を読んでいたが、『フィッシュ・ストーリー』は未読。それでも両者ともに楽しんで鑑賞することができる作品であった。

まずは前者『重力ピエロ』――。
ストーリーは遺伝子を研究する大学生の泉水(加瀬亮)と、壁の落書き消しを営む春(岡田将生)という「兄弟」を軸として進んでいく。
二人の住む街で発生した連続放火事件を調べ始めた春は泉水を巻き込み、事件の真相に迫っていくが、その過程で「家族の秘密」が深く関わっていることがわかっていき......

この物語の大きなテーマは、正義とは何かである。後者とも繋がるこのテーマは作中でも云われるように、孔子の昔から論じられてきた、云わば人類の永遠のテーマである。したがって個人が一概に答えを出すことは到底なしえない。むしろ、私的報復の妥当可能性について、或いは心正しき者は罪を犯した親を親だからして庇うのか、親子の情をないものとして断罪するのかといった命題を、社会的正義と個人的正義感とを相互にすり合わせ、各々がその人生の中で常に自問することに意味があるのだろう。

ちょっと横道にそれたが、それでは映画の出来は、というと、十分楽しめる作品だった。
ぼーっとした印象を纏いながらも突如として大胆な行動をとる兄を雰囲気そのままに演じた加瀬亮や、生理的嫌悪すら催させる渡部篤郎の悪役ぶりは唯一リアルな存在感があるなど、配役・演技はなかなか満足できるものだった。

ただ、兄を社会人ではなく大学生としたことにより行動の現実味が薄れ、弟との親密感の所以は(逆説的だが)異父兄弟という特殊事情にあったという作用の微弱化をもたらしてしまった。また兄の一人称で語られるため、弟の苦悩を描ききれなかったということも指摘できよう。

しかしそもそもエンターテイメント映画に仕上げる目的であったのだろうから、これはこれで良かったのだろう。

――今日は疲れたので、ここまで。二本目についてはいずれ。
スポンサーサイト

NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール

晋撰堂

Author:晋撰堂
晋撰堂は京極夏彦の京極堂シリーズにかぶれていた頃に命名。
自分の名前にも由来していますが、文化的娯楽作品から気が向いたものを取り上げてレビューを書いていこうと思います。たまに雑記と称して日々の雑念も放出します。
ただ問題は、ほとんど更新をしないということ。休眠状態を常としている現状ですが、もっと気軽に書けるよう努力してみようかと思ったのも、本日の気の迷いかもしれないです……

コメント、リンク等も何卒御気軽に。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。